マガジンのカバー画像

福島第一原発事故の真相

8
東京電力・福島第一原発の事故をめぐり、調査報道で次々と新事実が明らかになっています。事故と原発に関する報道をまとめています。
運営しているクリエイター

#東京電力

東電の経営幹部はなぜ津波対策に失敗したのか?「現状維持バイアス」「集団思考」「アンカリング」…他人事ではない心理に潜む「歪み」

福島第一原発事故発生の2~3年前に同原発での津波対策を検討した経緯を振り返った東京電力の当時の役員や幹部社員の言葉に、「現状維持バイアス」「アンカリング効果」「ギャンブラーの誤謬」「集団思考」「総意誤認効果」など、心理学分野の研究で明らかにされてきている人の認知の歪(ゆが)みを示す内容が含まれていることが、それぞれが語った言葉の詳しい分析で分かった。 「福島第一原発は安全なはずだ」という認知と、それと矛盾するような認知の双方をあわせもつことの居心地の悪さ、いわゆる「認知的不

地位、年齢が高いほどリスクを認めない!「津波対策」を却下した東電上層部の「歪んだリスク認知」を検証する

東京電力・福島第一原発の事故。土木調査部門から提案された津波対策を社内上層部が却下したことで、2011年3月11日、無防備な原発を津波にさらけ出すことになりました。なぜこんなことになったのでしょうか。 事故の2~3年前、東京電力の社内で「福島県沖の日本海溝沿いでマグニチュード8級の津波地震が発生するリスク」について、現場に近ければ近いほどより高いリスクを認識し、幹部になればなるほど認識するリスクがより低いことが、法廷などでの陳述を詳しく分析したことで判明しました。 津波地

【証拠資料入手!】「福島原発」政府事故調も隠した米軍注水支援「失われた2日間」を暴く証拠メールを全文公開

添田孝史・木野龍逸/フロントラインプレス 2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の津波によって、東京電力福島第一原子力発電所はほとんどの交流電源を失った。当時現場では事故を拡大させないため、東電職員や協力企業の作業員らが懸命に事故対応を続けた。米軍による支援の申し出があったのは、そのさなか、事故翌日の3月12日夕方である。ところが東電は米軍の受け入れを拒み、その間に事故は深刻さを増していく。 この新事実を明らかにしたスクープの後編では、社会技術

隠蔽された「最悪事故の真相」をスクープ!東電が福島原発事故直後に米軍の「注水支援」を断っていた

添田孝史・木野龍逸/フロントラインプレス 2011年3月11日14時46分に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の津波によって、東京電力・福島第一原子力発電所は稼働中だった1~3号機がすべての交流電源を失って原子炉の冷却ができなくなった。 東電は自動車のバッテリーを集めて電源確保に努めたほか、消防車で原子炉の冷却を試みたが、原子炉のメルトダウンが進み、3月12日15時36分に1号機が爆発。その後、2号機、3号機もメルトダウンするなど世界史上最大の原発事故になった。