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福島第一原発事故の真相

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東京電力・福島第一原発の事故をめぐり、調査報道で次々と新事実が明らかになっています。事故と原発に関する報道をまとめています。
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#奥山俊宏

東電の経営幹部はなぜ津波対策に失敗したのか?「現状維持バイアス」「集団思考」「アンカリング」…他人事ではない心理に潜む「歪み」

福島第一原発事故発生の2~3年前に同原発での津波対策を検討した経緯を振り返った東京電力の当時の役員や幹部社員の言葉に、「現状維持バイアス」「アンカリング効果」「ギャンブラーの誤謬」「集団思考」「総意誤認効果」など、心理学分野の研究で明らかにされてきている人の認知の歪(ゆが)みを示す内容が含まれていることが、それぞれが語った言葉の詳しい分析で分かった。 「福島第一原発は安全なはずだ」という認知と、それと矛盾するような認知の双方をあわせもつことの居心地の悪さ、いわゆる「認知的不

地位、年齢が高いほどリスクを認めない!「津波対策」を却下した東電上層部の「歪んだリスク認知」を検証する

東京電力・福島第一原発の事故。土木調査部門から提案された津波対策を社内上層部が却下したことで、2011年3月11日、無防備な原発を津波にさらけ出すことになりました。なぜこんなことになったのでしょうか。 事故の2~3年前、東京電力の社内で「福島県沖の日本海溝沿いでマグニチュード8級の津波地震が発生するリスク」について、現場に近ければ近いほどより高いリスクを認識し、幹部になればなるほど認識するリスクがより低いことが、法廷などでの陳述を詳しく分析したことで判明しました。 津波地

原発事故が深刻化した原因は「扉の開けっぱなし」だった!被害軽減の可能性もあったのに…

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く掘り下げたコンテンツをおすすめしています。 福島第1原発事故で新事実 「防護扉」開放で大量浸水許す東京電力・福島第一原子力発電所の1号機はなぜいち早く「電源喪失」し、メルトダウンという大惨事につながってしまったのか。実はそこにはあまり知られていない原因がありました。 海に面したタービン建屋の搬入口で巨大な防護扉が開いたままに