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ガザでおきている最悪の「偽情情報との戦い」をBellingcat代表が明かす

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。

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Belling cat代表インタビュー 「偽情報との戦い」 イスラエルとハマスの衝突 

ウクライナ戦争で注目された調査報道集団Bellingcat代表のエリオット・ヒギンズさんが、ジャーナリストの育成を手掛ける国際的NPO、Institute for War & Peace Reporting(IWPR)のインタビューで、ガザにおける偽情報との戦いの深刻さを訴えています。

SNSなど公開された情報から分析するオープンソースインテリジェンス(OSINT)の筆頭ともいわれるBelling catはウクライナでのロシアの戦争犯罪を暴いてきました。今回のガザでも、その手法を使って活躍をしています。

500人もの死者を出したアル・アハリ病院の爆破事件では、爆発のクレーターから大型爆弾ではないことを割り出したり、あるいは米国紙がパレスチナ側による病院へのロケット弾発射動画としたものが無関係であることなどを指摘しています。

一方で膨大な誤情報やプロパガンダがまん延する状況は最悪であり、公開情報を分析するOSINTには相当なプレッシャーがかかり、調査にも非常に長い時間がかかることを打ち明けます。

それにもかかわらず人々が明確で確定的な答えを早く求めており、それが得られない場合は、それを提供してくれる人を探す状況にあり、それが誤情報を生みやすい危険を、ヒギンズさんは指摘します。

また国際司法裁判所の法定での材料になることをウクライナ戦争では想定しているのに対し、ウクライナ・ハマスの対立問題は国際私法裁判所で扱うのが難しいという実態も、明かしています。

激しい情報戦の中で、慎重にOSINTに取り組んでいることがよくわかるインタビューでした。(瀬)

(IWPR 2023/11/3)