見出し画像

消えゆく重要裁判の記録、まさか「阪神・淡路大震災」関連までも…本当にこれでいいのか

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。

きょうのおすすめはこちら。

震災訴訟記録が全て廃棄 阪神・淡路、永久保存ゼロ 神戸地裁、保存「原則5年」踏襲

1997年に神戸市須磨区で起きた連続児童殺傷事件で逮捕された「少年A」の事件。その記録を神戸家裁が廃棄していたというスクープを報じた神戸新聞の霍見真一郎記者が、また新たな報道を発信しました。

来年で発生から30年になる阪神・淡路大震災。それに関連した神戸地裁管内での民事訴訟の記録が、全て廃棄されていたというショッキングな内容です。

民事訴訟記録の保存期間は原則5年で、特別保存(永久保存)された事件記録が1件もなかったということです。

阪神・淡路大震災といえば、高速道路が倒壊する衝撃的な映像を覚えている方も多いと思います。その被害で犠牲になった男性の母が、当時の阪神高速道路公団を相手取って起こした国家賠償請求訴訟の記録や、被災したマンションの建て替えに関する訴訟の記録も含まれていたとか。

「原則」にこだわるのではなく、今後も起きる大災害のために残しておく判断はできなかったものでしょうか。

神戸新聞では、「失われた事件記録」としてシリーズで報じていて、逆にどんな訴訟記録が永久保存になっているのかも伝えています。

実は「少年A」の裁判記録の報道をきっかけに、永久保存の基準・運用が改められ、保存される件数も増えていると見られるということです。重要な資料の廃棄を防いだ、報道の大きな成果。今回の報道も、今後の記録保存にいい影響を与えてほしいと切に願います。(熊)