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被災地をおそった豪雨…輪島の木造アパートに住む朝日新聞記者が伝える大雨被害の「惨状」

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被災女性「地震がきて、今度は雨が…」記者が目にした輪島の大雨被害

9月21日から北陸を記録的な大雨が襲っています。特に心配なのが、1月の能登半島地震の被災地となった石川県輪島市、珠洲市、能登町です。

3市町には大雨特別警報が発令。河川の氾濫や土砂崩れなどが発生し、21日夜時点で1人が死亡、行方不明者は6人にのぼる被害が出ています。大雨は22日も続く見通しで、まだまだ心配な状況が続きます。

その最中に、輪島に住み被災地の取材をつづけてきた朝日新聞・上田真由美記者が書いた記事が、大雨に襲われた被災地の様子をよく伝えてきます。

記者が住む石川県輪島市内の木造アパートは、窓にも壁にもたたきつけるような強い雨があたり、恐怖を感じるほどだったといいます。

一見、通行できるように見えても泥水でクルマをからめとり動けなくする道路。 扉の半分くらいの高さまで水につかったプレハブの仮設住宅。通信状況が悪く、何度も通話が途切る携帯電話。

震災で準半壊と指定された傾いた家が、床まで泥まみれに浸水した女性の悲痛な声が胸を打ちます。

女性は「地震がきて、今度は雨がきて、こんな目にあうなんて」とため息をついた。「家も潰れとらんし、家族みんな元気やし、よかったんやと思うようにしてきたけれど……。もう、泣きたくなるね」

混乱した状況下にあって、すぐに重機を使って救援活動をはじめるNPOや、通りすがりの記者にタオルを貸してくれる地元のガソリンスタンドなど、被災地の人たちが持つ力強さも伝わってきます。

全国紙も地方紙も経営が厳しくなる中で、これまでのような取材網が維持できなくなってきています。正月の能登震災でも、被災した地域に全国紙の支局など取材拠点が少なかったことが、情報発信の不足を招いていたという指摘もありました。

地元に拠点を構える記者がいることの意味、そこでしか発信できない情報があることを、あらためてこの記事は伝えてきます(瀬)