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親族の「軍歴照会」を呼びかける読者参加型調査報道「うちにも戦争があった」というチャレンジ

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。

きょうのおすすめはこちら。

軍歴照会で辿るあなたの家族の軌跡 教えてください、戦争の記録と記憶 

読者から調査報道してほしいテーマを募集する「あなたの特命取材班」を展開してきた西日本新聞が、新しい読者参加型のキャンペーン報道「うちにも戦争があった~あなたの家族の軌跡~」を新年からスタートしました。

その柱になっているのが親族の「軍歴」を照会してもらい、それを集めようという呼びかけです。

軍歴とは、旧日本軍の軍人や従軍看護婦などの軍属の職業履歴です。入隊した日付やどこに赴任していたか、そして除隊や志望した場合はその理由などをひとりづつ記録しています。この軍歴の証明書は厚生労働省と都道府県が管理しており、遺族の請求によって交付することができます。

ただし申請できる遺族の範囲がひ孫など三親等以内に限るケースもあり、戦後80年近くがたち、申請有資格者が減ってきている実情があります。そこで、今回の呼びかけとなったわけです。

 今回の西日本新聞のキャンペーンは、戦争体験者の証言や家族が聞いた話に加えて、親族の「軍歴」を広く集めることで、それぞれの「ファミリーヒストリー」を掘り起こそうという、野心的な試みです。

そもそも戦時中の体験自体を家族で話す機会も少なく、戦争の記憶が家族中で受け継がれていないケースも少なくありません。

来年は戦後80年、戦争体験者が高齢化する中で、新聞社の取材力と読者それぞれの家族の歴史から刻まれる戦争の記録は、重要な史料ともなることでしょう。

すでに軍歴紹介をもとにした、それぞれの家族の顔が浮かぶような取材事例もいくつか公開されています。これからの広がりが楽しみです。(瀬)



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