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災害前線報道ハンドブック【第3章】検証フェイズ⑥クロノロジーと「報告書」の重要性

スローニュース 熊田安伸

今回は、発災直後から作っておくべき「クロノロジー」の重要性と、のちの検証に大きな役割を果たす「報告書」について、実例を交えて解説します。


必ず作っておくべき「クロノロ」

災害が発生したその瞬間から作っておくべきものが「クロノロジー」です。略して「クロノロ」と呼ばれています。時系列でその災害についてのすべての事象を記録していくもので、例えば、

  • いつどこでどこでどんな被害が確認されたか

  • 国や自治体は被災地の住民にいつどんな警告を発したか

  • 災害対応のためにいつどんな態勢が取られたのか

  • 被災地の住民からいつどんな声が上がっていたか

  • 被災地の住民はいつどのように避難したか

  • 救助はいつどこで始まったか

  • 支援のためにいつ何がどう動いたか

こうした事柄をとにかく何でも書き留めておくのです。できれば「分野別」「地域(自治体)別」でまとめておきたいところですが、最初はとにかく何でも「時間」「場所」「事象」を記録しておくことが肝要です。

2015年、鹿児島県の口永良部島で新岳が噴火し、初の噴火警戒レベル5となって、全住民約140人に避難勧告が出されました。

気象庁資料より

その時のクロノロが手元に残っていたので、以下に一部を転記してみます。

09:59 噴火
10:07 口永良部島 噴火警戒レベル3から5に引き上げ
    県災害対策本部設置
10:10 熊毛事務所 災害対策本部設置
10:15 屋久島町 避難勧告
10:20 屋久島町 避難指示
10:20 屋久島町 避難広報
10:40 水産振興課漁業取締船制海出港(12:40到着予定)
10:45 防災ヘリ マリンポートHP到着

一刻を争う全島避難の緊迫感が伝わってくるようですね。気になるのは、いったん、避難勧告を出しておいて、わずか5分後に避難指示に切り替えて広報しているところ。ここでどんな判断があったのか。また、住民には何時の段階でどう情報が伝わっていたのかなど、後に検証するのに役立ちます。

私はNHK時代、大災害の被災地にチームで応援に行くことが数多くありましたが、メンバーのうち必ず1人を「クロノロ班」に任命して、とにかく情報をまとめさせていました。それほど役に立つし、必須のものなのです。

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