見出し画像

「女性起業家のセクハラ問題」にスタートアップを推進する政府やメディアはどう答えるのか

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。

きょうのおすすめはこちら。

“女性起業家の半数がセクハラ被害” スタートアップ業界で何が

社会課題の解決などをうたっていたはずのスタートアップ業界で、セクハラが蔓延していることを、NHKが報じています。

「業界内でもよく知られた個人投資家の方に『投資するから、月100万払うから愛人関係になろうよ』と言われました。準備していた事業計画書もろくに見てもらえず、そういったことをしなければ投資をしてもらえないのか、とすごくショックでした」

実名で被害を訴える女性は、起業を目指している過程でこうしたケースが相次いだことから、結局、うつの症状が現れ、起業を断念することになります。

7月に発表された、シカゴ大学の柏野尊徳さんによるスタートアップ業界のセクハラに関するインターネット調査では、回答した女性153人のうち47.7%、女性起業家に限定すると52.4%が「過去1年以内にセクハラ被害を受けた」と回答しています。

そもそもスタートアップ業界やテクロノジー業界は男性中心の「ボーイズカルチャー」が蔓延していることが指摘されてきました。

今回のNHKの取材では10人以上の女性起業家がセクハラの経験を訴えたといいます。

また、この報道が出たあと、「NHKの報道を一時の盛り上がりにしてはいけない」と訴える女性起業家の投稿に対して、たくさんの女性蔑視のコメントがつく悲しい状況でもあります。

政府はスタートアップ支援を成長の重要な戦略としてとらえ、投資額を2027年度までに10兆円規模にするという「スタートアップ5か年計画」を打ち出してきました。

健全なスタートアップ業界を育成するためにも、こうした負の側面にも目をむけて、是正をする働きかけをすることこそ、これまで旗振り役をしてきた政府の役割であることは言うまでもありません。

もちろんスタートアップやその周辺の業界、たとえば起業を応援するとしてきたメディアからは、この状況を変えるための声があがり、行動が起きてほしいと願います(瀬)

タイトル画像はNHK「女性起業家の半数がセクハラ被害” スタートアップ業界で何が」より