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「統計モデルを使えば競艇は当てることができる」という驚愕のコンテンツ!ただしそれは「本質」なのかも問う

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。

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勝つことと当てることの間 競艇の統計的モデリング

最初に断っておきますが、私、およそギャンブルと名の付くものをやったことがありません。だから本質を理解しているかどうか、はなはだ心許ないのではありますが、それを差し引いても中日スポーツのこの記事は実に興味深いと思いました。

「競艇」という公営ギャンブル。1枠から6枠までのボートが競いますが、この10年間の49万ものレースのデータを見ると、なんと1枠の勝率が52.1%と圧倒しています。枠によって勝率が全く違うのです。

ただし、それをアテにして賭けても、結果は次第に「ジリ貧」になるだけ。果たして儲ける賭け方はあるのか。それを統計的なモデリングによって徹底的に検証したコンテンツです。

「選手の力」「枠の力」「選手の枠の力」「モーターの力」「運の力」の合計でレースの結果が出ると想定して、最近の2万ものレースのデータを分析。それによって、実際に未来のレース結果を予測しています。

統計モデルの内容を詳しく説明するのは大変なので、それは記事を読んでいただくとして、結論から言うと、「欲をかかず、確率が10%以上の割安な舟券だけ買えば、回収率は93~99%まで上昇する」というのです。すごい。

ということは、この手を使えば大当たりはないけれど、着実に儲けられるということでしょうか。これを読んで思い出したのが、過去にあったある事件です。イギリス人が社長を務めるデータ分析会社が、競馬で得た配当金を申告せず、東京国税局から約160億円もの所得隠しを指摘されたというもの。コンピュータープログラムによるデータ分析で確率の高い馬券だけを大量に購入して、儲けを出していたとされています。

しかしながらこの記事は、最終的に非常に興味深い結論にたどり着き、読者に問うています。

果たして「落穂拾いのような戦略」で儲けたとしても、それがギャンブルという行為なのかと。「一攫千金の機会を自ら放棄」して、レースという「物語」に耽溺できなくていいのかと。なるほど。

ギャンブルとは縁遠い私ですが、いろんな意味で瞠目させられたコンテンツでした。(熊)