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「神サイト」と噂の不動産サイトを使ってみたら本当に神がかっていた…各メディアが力を入れて制作したサイトがお役御免になるレベル

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。

きょうのおすすめは、「神サイト」と噂になっているあるサイト。実際に使ってみました。

地図コンテンツが花盛りではありますが……

ここ数年、全国紙やNHKなどの従来型の大手メディアが、様々な情報を地図で可視化した発信に力を入れています。

例えば、NHKの『高齢者施設「津波リスク」全国MAP』。全国約3800カ所の高齢者施設と、津波の浸水リスクがある場所とを重ね合わせて警鐘を鳴らしたサイトです。

このNHKのサイトを見て、さらに充実したものを作ろうと考えたのが毎日新聞。高齢者施設だけではなく、幼稚園、保育園や学校の位置情報も重ね合わせた『津波浸水想定マップ #守りたい』を発信しています。

地方紙では北海道新聞が、北海道内の学校、病院、避難場所と津波の浸水想定域を重ね合わせた『津波機危険度MAP』を独自に提供しています。

一方、日本経済新聞は、経済メディアらしく、『あなたの街の地価は?上昇・下落マップ2024』を配信中です。

こうしたサイトは、いずれも国土交通省の「国土数値情報」などのデータをもとに作られています。

そんな中、こうしたメディアが出してきたコンテンツを一気に上書きしてしまいそうなサイトが話題を集めています。

不動産情報ライブラリ

それが国土交通省そのものが4月1日にローンチしたばかりのサイト『不動産情報ライブラリ』です。早くも「神サイト」などと評判を呼んでいるようですね。

ただ、上にリンクを張った記事では、実際の使い勝手が今一つよくわかりませんよね。そこで、実際に使ってみることにしました。

トップページからまず「地図表示」をクリックしてみると、大まかに6つの情報分類がされています。「価格情報」「地形情報」「防災情報」「周辺施設情報」「都市計画情報」「人口情報等」です。

このうち、「価格情報」は、国交省の土地鑑定委員会が標準地を評価した「地価公示」の価格や、都道府県が毎年7月に公表する「地下評価」額、それに業者へのアンケートに基づいた取引価格と、指定流通機構(レインズ)の保有する取引価格の情報があり、いずれも地図で表示することができます。

不動産ライブラリより 以下同

データは一覧でも表示することができます。ただ、取引価格は個別の取引が特定できないようにしてあります。私が住んでいる東京都中野区の中野坂上駅周辺での情報を表示してみました。

価格順、面積順などの表示もできますし、取引件数の推移などもすぐにグラフ表示が可能です。

「地形情報」では陰影で土地の高低を表現できるうえに、斜面に盛り土をした造成地を示すことができます。下の図の緑のところが造成地。確かに現場にいくと、ここだけ高低差が極端に高くなっているんです。実は私、この急な坂で自転車に乗っていて転倒し、左手を骨折するという酷い目にあいました。

「防災情報」では、「洪水浸水想定区域」「土砂災害警戒区域」「津波浸水想定」「高潮浸水想定区域」「避難施設」「災害危険区域」「急傾斜地崩壊危険区域」「地すべり防止地区」をマップ上に示すことができます。

それだけでも十分に役に立ちますが、そこに「周辺施設情報」の「保育園・幼稚園等」「学校」「医療施設」「福祉施設」の位置を重ねてブロットすることが簡単にできてしまうのです。

実際、中野坂上駅周辺でやってみたところ、洪水で最大0.5~3メートルの浸水が予想されている場所に幼保施設や学校、福祉施設があることが分かります。

これって、最初に紹介したNHKや毎日新聞などのサイトと同じことができてしまっているということですよね。しかもさらにもっと多くの情報とも重ね合わせることができます。

このほか、都市計画や用途地域ごとに表示ができますし、国勢調査に基づいた人口メッシュや、駅ごとの乗降客数のデータも表示できます。

無数のデータの組み合わせによって、これまで気づかなかった新たな地域の問題も浮かび上がりそうです。

不動産関係者ならずとも、ぜひ使ってみてはいかがでしょうか。(熊)

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