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「麻生派で裏金証言」スクープの背景には、やはり刑事裁判記録の閲覧があった

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麻生派で裏金認める初の証言 元所属議員秘書が特捜部に供述

自民党を揺るがした派閥のパーティー券裏金化事件。検察が立件したのは、安倍派、二階派、岸田派の議員でした。

しかし実は麻生派でも、パーティー券による収入で裏金がつくられていたという議員秘書の証言を、毎日新聞の大場弘行記者が9月2日にスクープしました。

記事によると、2022年に政治資金規正法違反で罰金などの略式命令を受けた薗浦健太郎元衆院議員の元秘書が、東京地検特捜部の調べに対して供述したのだとのこと。派閥の政治資金パーティーの収入から17年に分配された380万円を事務所の裏金をためる口座に入れたといいます。

なぜこの新事実が判明したのか。スローニュースでも何度かこの手法を紹介していますが、「刑事裁判の確定記録」を閲覧したためでした。

実はスローニュースの関係者も同じ記録の閲覧を申請していますし、他にも何人かが閲覧を申請しています。どうやらこの記録、厚さ12センチほどのファイル2冊分にも及んでいるということで、噂によれば、大場記者は読み込みのために1週間ほど通い詰めたのだとか。閲覧はできても、コピーや撮影ができないんですよね。

そして閲覧すればいいというものではなく、膨大な供述調書や会計資料を読み解いて、ポイントを見つけ出すのは本当に大変だったろうと思います。同じものを閲覧していても、見つけられた記者とそうでない記者もいたかもしれません。今度、彼にどのあたりが一番大変だったのか、詳しく聞いてみたいと思います。

それにしても、公開すべき重要な資料なのですから、より簡便に閲覧できるようにしてもらいたいものです。

さらに、裁判に関する記録は、永久に保存されることも切に願います。これについては、また明日の記事で別のスクープを紹介したいと思います。(熊)