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「長編ドキュメンタリーの巨匠」ワイズマン94歳がインタビューで明かした意外な題材の選び方

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撮った映像は140時間「全部見るのに6週間かかります」94歳の巨匠が語る“ドキュメンタリー映画の作り方”


御年94歳で新作『至福のレストラン 三つ星トロワグロ』を完成。日本でも8月23日から上映がはじまった、ドキュメンタリー映画の巨匠、フレデリック・ワイズマン監督が文春オンラインのロングインタビューで、その作り方を明かしています。

『パリ・オペラ座のすべて』、『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』などワイズマン監督は、世界中の場所や組織を丹念に描いた傑作を発表してきました。題材をどうやって選ぶのか、込み入った組織という素材をどう撮影、編集するのか、という手法は大変興味深いです。

新作で彼がカメラを向けたのは、フランス中部の三つ星レストラン「トロワグロ」。4世代に渡り家族経営を続け、半世紀以上も星を維持してきた老舗です。

巨匠のことなのでずっと前から撮影の機会を伺っていたのかと思いきや、そもそも行ったこともなければ、名前を聞いたこともないレストランだったと言います。

2020年の夏、ブルゴーニュの友人夫妻に招待され1ヵ月をその地で過ごした際、お礼に近くのレストランに招待したいなと思い、ミシュランガイドに載っていたトロワグロにランチを食べに行ったのが始まりでした。料理を楽しみ、デザートを食べ終わる頃、4代目シェフオーナーのセザールが挨拶にテーブルまで来てくれました。そこで私は衝動的に「ここを撮影してもいいだろうか?」と聞いたんです。セザールは「父と話してきます」と答え、30分後に戻ってきて「いいですよ」と言ってくれました。後で知ったのですが、セザールと父親のミッシェルはその30分間、Wikipediaで私のことを調べていたようです(笑)

文春オンラインより

「撮影はスポーツのようなもの」というワイズマン監督が、その素材をどうやって編集していくのかはとても興味深いので、ぜひインタビューを読んでみてください。

『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』は3時間25分という長い上映時間でしたが、新しい発見も多く、まったく飽きることなく、終わったときにはさみしく感じるほどでした。今回の『至福のレストラン 三つ星トロワグロ』は240分、食の世界をどんな風にみせてくれるのか、楽しみです(瀬)