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能登半島地震の発生から半年、「未来の災害で孤立する場所はどこだ?」を可視化した中日新聞の報道

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。

きょうのおすすめはこちら。

あなたの地元は大丈夫? 災害時の孤立予想3659集落マップ 愛知、岐阜、三重、静岡、長野、福井、滋賀、石川、富山県

能登半島地震の発生から7月1日で半年です。カレンダージャーナリズムというなかれ、この前後の時期に各メディアがどんな発信するのかと注目して見ていたところ、中日新聞が重要なコンテンツを出していました。

今回の地震で注目されたのは、孤立地区の多さです。発災後、把握さえ十分に進まず、支援の手も届きませんでした。

そこで次の災害の際にどこが孤立するおそれがあるのか、東海・北陸など9県で土砂崩れなどで孤立が予想される集落を可視化したのです。各県に情報公開請求をかけて調べたところ、計3659カ所にのぼったとのことです。

Flourishというツールで作られた手作り感のあるマップで、自分の関係する場所を探していくのはちょっと操作感として手間がかかるものの、次の災害に備え、わが事として考える上では重要な発信ですね。

さらに、こうした事前の予想から漏れた場所でも、能登半島地震では孤立が発生していたことも明らかにしています。石川県内で孤立した49カ所のうち、少なくとも24カ所は災害時に孤立すると予想されていなかったということです。

石川県は2013年度に予想をしたものの、その後は実施していなかったということです。

そして、こうした孤立集落は、マップで見てわかるとおり、やはり山間の集落が中心なのですが、それだけではありません。

大都市名古屋のど真ん中でも「孤立」は起きると中日新聞は注意喚起しています。大きな揺れで倒壊するおそれがある建物が「緊急輸送道路」沿いにあるからです。そちらもマップで可視化しています。

能登半島地震は決して終わっておらず、まだ復興モードどころか発災中だと思います。長引く避難生活の中で亡くなり、災害関連死の認定を待っている人もたくさんいて、そうした状況を伝える報道は大切です。一方で、こうして災害を教訓に未来の被害に備える報道も重要ですよね。(熊)

(中日新聞 2024/6/27)