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「人が人を殺す」精神科病院はどうなったのか…ドキュメンタリー『死亡退院』の続報が報じる現実

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。

きょうのおすすめはこちら。

死亡退院 さらなる闇

「ここね、人が人を殺すとこなんです。僕を助けてください。お願いします。僕は死にたくないんです」

こう訴えた46歳の患者は、その1ヶ月後に死亡する。

一度入院すると死ぬまで退院できない。入院患者2000人のうち、1400人が退院するときには亡くなっている。

そんな恐ろしい精神科病院「滝山病院」の実態を1年以上かけて取材し、内部資料や行政などの取材から、精神医療の闇を暴いた調査報道ドキュメンタリーの傑作「ルポ死亡退院~精神医療・闇の実態~」の続報が、6月29日午後11時からNHK Eテレで放送されます。

2023年に患者への虐待を理由に看護師ら5人が逮捕や書類送検。東京都から改善命令が出され、病院側から再発防止策が示されました。しかし、その後、病院からの患者の転院、退院はなかなか進んでいません。その背景を取材したという続編はどのような実態を明かしているのでしょうか。

そもそも滝山病院事件は、悪質な病院という問題ではありません。不透明な精神科医療の実態、それに依存し、放置してきた行政、そして患者を巡る複雑な家族の事情など、深刻な社会背景があり、「ルポ 死亡退院」はそれを丁寧な調査報道で告発しました。こちらのアーカイブから見られます。


NHKの青山浩平ディレクターら同じ取材班が手掛けたこちらの記事も、事件の構造がわかりやすいです。

6月29日の放送も必見です。(瀬)