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災害前線報道ハンドブック【第2章】避難フェイズ⑥被災者や遺族への取材
スローニュース 熊田安伸
災害報道で最もハードルが高いものの一つが、被災された方や、亡くなった方の遺族などへの取材です。相手への十分な配慮が必要なことはもちろん、場合によっては取材する側のメンタルにも強く影響することがあります。どのようにするのが一番いいのか。
結論から言ってしまえば、他のあらゆる取材と同じでケースによって判断するしかないので、「答えはない」のです。とはいえ、参考になる実例はいくつもあります。今回は、そうした例を紹介したいと思います。
それまでは取材ができなかった、母を亡くした子どもとその家族への取材
新潟県中越地震の発生から4日後に、がれきの下敷きになった車の中から救助された皆川優太ちゃん(当時2歳)のことを覚えていらっしゃいますか。奇跡的な救出は当時、メディアで大きく報じられました。
優太ちゃんの母親は亡くなり、祖父母に育てられることになりました。小さな命がすくすくと育っている様子は、まさに辛い震災から立ち直る被災地の象徴的な存在でした。
新潟県中越地震から、23日で10年。約92時間ぶりに救出された当時2歳の皆川優太くんは、「自衛官とか人を守る仕事がしたい」と夢を語ります。⇒ http://t.co/gpsYOp2OEH (地震当時の写真:ロイター/アフロ) pic.twitter.com/1LYjXRWRx2
— 地震・ニュース速報@Yahoo!ニュース (@YahooTopicsEdit) October 18, 2014
節目の時には、いまどうしているのかを報じたいところですが、皆川家はメディアの取材を受けていませんでした。記者はどうしたか。
ここから先は会員限定です。被災者にアプローチしていった実例や、「デスクに嘘をつくことが実は正しかった」ケースなど、具体的に紹介していきます。