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国会議員の規範意識はなぜこんなに低いのか。裏金問題だけではない、公設秘書問題はそれを象徴している

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公設秘書552人の存在公表せず 与野党で国会ルールの違反横行

今回紹介する記事の前に、まず、去年9月に報じられた毎日新聞のこちらのスクープ記事を覚えていますでしょうか。

日本維新の会の池下卓衆院議員が、地元の高槻市議2人を公設秘書として採用し、二重報酬を受け取っていたという問題です。スローニュースも「今日の必読」で取り上げました。

その後、毎日新聞は、自民党の逢沢一郎・元国対委員長と松本尚・防衛政務官、そして立憲民主党の福田昭夫衆院議員の3人も、地方議員を公設秘書として兼職させていたと独自に報じています。

「原則禁止」なので抜け穴はあるにしても、これではルールが形骸化してしまいます。なぜこんなずさんなあり方がまかり通ってしまうのか、毎日新聞は11月、池下議員の内部での報告書などをもとに、「『抜け道』を問う」とする4回にわたる連載を配信しました。

そして今回、新たに明らかになったのが、そもそも公設秘書のうち、552人もの雇用情報が国会のルールに違反して公表されていなかったということです。

ルール違反だった議員は衆参両院で273人に上り、閣僚では盛山正仁・文部科学相ら閣僚6人(有料記事なので、他の閣僚名は元記事でどうぞ)や、立憲民主党の泉健太代表も秘書の「現況届」を提出していませんでした。

各議員事務所の説明は、いつもの「失念」「ミス」……そもそもこうしたルールができたのは、秘書給与詐取事件が相次いだからです。それで済まされる問題なのか、と毎日新聞は問題点を指摘します。

それにしても多すぎます。公設秘書の「現況届」が提出されていなければ、外部からチェックすることもできません。政治資金もそうですが、国民の「信頼」を本当に得たいなら、問題が起きてから弥縫的に対応するのではなく、そもそものルールを守って説明責任を果たすところからまず始めてはいかがでしょうか。(熊)

(毎日新聞 2024/1/29)

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