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食道がんで逝去!山崎元さんが最後のブログに遺した「上機嫌」という生き方

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。

「癌」になって、考えたこと、感じたこと

経済評論家の山崎元さんが1月1日に65歳で亡くなりました。食道がんでした。

銀行系の会社に在職中から、個人投資家のために高い手数料をとる銀行や証券会社を実名で批判してきた山崎元さんは、その姿勢ゆえ、根強いファンをもっていました。また自ら13回転職したキャリアは、雇用の流動性を先取りしていたともいえます。

2022年8月にステージⅢの食道がんが発見されてから、山崎さんはその経緯を自らの連載やネットで積極的に発信をしてきました。

その集大成といえるのが、23年8月からはじめたnoteです。

「私は、2022年の夏に食道癌が見つかった。その後、治療を受け、現在に至っている。診断が確定してから一年が経過した」

と始まる投稿は、亡くなる直前、2023年12月25日まで6回におよびます。

画像からリンクで山崎さんのnoteにとびます。

ご自身の所得から、財産の処分まで包み隠さず、細かく明かしている間に、闘病の経緯が明かされています。驚いたのは合理的な山崎さんが、『がんと戦うな』で知られる近藤誠さんの影響を受けていたことです。その結果、早期発見は遅れたのですが、クールな山崎さんらしく、サンクコストとして後悔を持たず、振り返っていることです。

そんな中で特に、気になったのは12月4日の投稿がこちらの投稿。

画像からリンクで山崎さんのnoteにとびます

雑誌編集者時代に担当をしましたが、山崎さんの筆は達者でもらった原稿もほとんど書き直すことがありません。その山崎さんが、このコラムの中で、がんの再発を医師から伝えられる場面について、まったく同じ表現でこう繰り返して書いていることが印象的です。

「『持ち時間』の前提が急速に縮んだ瞬間だった。筆者は、『2年以内に半分再発』のクジの外れの方を引いたらしい。」

さすがに体力がつきていたのか、それともどこかに強い思いがあったのか、その背景を思ってしまいました。

山崎さんは亡くなる直前、12月25日に最後の投稿をしています。

最後はこう締められています。

 過去は「他人」のもの、最期の一日は「本人」のものだ。お互いに機嫌良く過ごす上で邪魔になるものは何もない。
 上機嫌なら全て良し、と思うがいかがだろうか。

山崎さんは生前、いっしょにバーで酒を飲みながら世情を語るとき、「そんなに大成功しなくても、人生は上機嫌だったらいいんですよ」とよく繰り返していました。カメラやウイスキーにはこだわりがあったものの、不動産や自動車などの物欲には関心をみせなかった山崎さんらしい言葉でした。そんなことを思い出しました。(瀬)

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