華麗なる「肉食系ビジネス」の世界
2012年、ムンクの「叫び」が当時の史上最高落札価格を更新する1億700万ドルで落札された。オークション会社サザビーズの手数料を加えると1億2000万ドル。当時の為替レート、1ドル80円で換算すると96億円!

探偵のような裏付け調査

 来歴ではこんな出会いを経験したこともある。

 国立西洋美術館は一九八〇年に十五世紀フランドルの画家、ディーリック・バウツの工房による「荊冠のキリスト」を購入した。プライベートな空間で祈りを捧げるときに立てる、折りたたみ式の小さな絵画で、本来は左右が対になっている。これは向かって右側のキリストの部分だった。

 二〇〇七年にサザビーズにいた私のところに、左側の「悲しみの聖母」を日本で売らないかという話が舞い込んだ。作品の裏に記された来歴によると、ポルトガルの王侯貴族、ヨーロッパの修道院を経て、スペインで所蔵されていたものだった。

 私はオークションではなく、売り手と買い手の間を取り持つプライベートセー…

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