2010年に逮捕された2人の金融マン エリートとアウトサイダーが見た奈落
SFCG(旧商工ファンド)の大島健伸と日本振興銀行の木村剛。彼らはどのように一時の成功者となり、転落していったのか。2人の人生をたどりながら、他人を犠牲にした個人主義の蔓延に警鐘を鳴らす。

資産隠し

 「こんど大島というのが来るから」

 大島健伸が長男の嘉仁を自分の許に呼び寄せた際、社内ではぶっきらぼうにそうとしか告げなかったという。

 一九七六年生まれの嘉仁は慶應義塾大学を卒業後、三井物産と米リーマン・ブラザーズを経て、直前は米系投資ファンド会社に勤めていた。途中までの経歴は父親と瓜二つだ。ただ、「芯は強い」と擁護する向きもあるにはあるが、関係者の多くが嘉仁に見るのは「線の細さ」である。親許を離れて六本木のマンションで暮らしていた時期もあったようだが、SFCGに呼び寄せられた頃には、松濤の豪邸に出戻っていた。

 嘉仁は子会社のJファクターに入社し、直後の二〇〇八年八月五日付で同じくMAGねっと…

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