「こんど大島というのが来るから」
大島健伸が長男の嘉仁を自分の許に呼び寄せた際、社内ではぶっきらぼうにそうとしか告げなかったという。
一九七六年生まれの嘉仁は慶應義塾大学を卒業後、三井物産と米リーマン・ブラザーズを経て、直前は米系投資ファンド会社に勤めていた。途中までの経歴は父親と瓜二つだ。ただ、「芯は強い」と擁護する向きもあるにはあるが、関係者の多くが嘉仁に見るのは「線の細さ」である。親許を離れて六本木のマンションで暮らしていた時期もあったようだが、SFCGに呼び寄せられた頃には、松濤の豪邸に出戻っていた。
嘉仁は子会社のJファクターに入社し、直後の二〇〇八年八月五日付で同じくMAGねっと…
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