2010年に逮捕された2人の金融マン エリートとアウトサイダーが見た奈落
SFCG(旧商工ファンド)の大島健伸と日本振興銀行の木村剛。彼らはどのように一時の成功者となり、転落していったのか。2人の人生をたどりながら、他人を犠牲にした個人主義の蔓延に警鐘を鳴らす。

5 転落の予兆

ベタとオトリ

 大島健伸に巨万の富をもたらした商工ファンドのビジネスとはどのようなものであったのか。

 新規顧客を獲得するため商工ファンドでは営業社員がひたすら電話をかけまくった。電話帳や信用調査会社の資料を基に、一般金融機関から借りられそうにない経営不振の中小零細企業をリストアップし、相手につながるや、「新規開拓読本」に沿って、とにかく受話器に向かって喋り続けるのである。

 一九七〇年代の石油ショックを契機に日本経済が安定成長の段階に入ると、企業の優勝劣敗は鮮明になり、倒産は激増した。信用調査会社の統計によると、それまで年間の倒産件数が一万件を超えることなど滅多になかったが、一九八〇年代半ばの円高不況にかけて…

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