2010年に逮捕された2人の金融マン エリートとアウトサイダーが見た奈落
SFCG(旧商工ファンド)の大島健伸と日本振興銀行の木村剛。彼らはどのように一時の成功者となり、転落していったのか。2人の人生をたどりながら、他人を犠牲にした個人主義の蔓延に警鐘を鳴らす。

6 暴走

クーデター

 その年の夏は記録的な猛暑だった。寝苦しい夜が明けると、雲一つない青空が広がり、水銀柱は見る間に上昇して午前八時には早くも三十度を超えていた。普段に比べ人通りもまばらな土曜日のオフィス街に真夏の太陽が容赦なく照りつけた。

 二〇〇七年八月十一日──

 東京・大手町は並み居る金融機関の中枢が集まるいわば日本の金融村である。その真ん中に横臥する大手町ビルの一階に、日本振興銀行は本店を構えていた。いつもは多くの人々で賑わうメーン通路は閑散としていたはずだ。朝早く、十数人の男たちがそこを通り抜け、本店の入口に吸い込まれていった。毎週土曜日の午前九時に開かれる定例の執行役会がこの日も始まろうとしていた。

 会…

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