2010年に逮捕された2人の金融マン エリートとアウトサイダーが見た奈落
SFCG(旧商工ファンド)の大島健伸と日本振興銀行の木村剛。彼らはどのように一時の成功者となり、転落していったのか。2人の人生をたどりながら、他人を犠牲にした個人主義の蔓延に警鐘を鳴らす。

教育県のエリート少年

 三千メートル級の峰々を背にし、荒ぶる日本海を眼前に臨む富山県の歴史は氾濫を繰り返す急流河川との戦いの連続である。その県民性は勤勉質実で知られ、越中女は第一次世界大戦最中に起きた米騒動の火付け役となるほどの力強さを内に秘める。他方で売薬に代表されるように、商魂たくましく県外に飛び出していく開拓精神も脈々と息づいている。出身者には読売グループの中興の祖である正力松太郎や角川書店創業者の角川源義、「昭和の参謀」との異名もとった瀬島龍三ら癖のある人物も少なくない。

 木村剛が富山市に生まれたのは一九六二年のことだ。父親は耐火物などを販売する中小商社で営業マンとして働き、母親は近所でも教育熱心なことで知…

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