貧しい人々が信用に値しないのではなく、既存の銀行が人びとに値しないのである
バングラデシュの貧しい女性たちに無担保で融資し、自立を促す「グラミン銀行」。その活動を8年にわたって調べてきた著者が、女性たちの奮闘する様子を活き活きと描く。

□みなで話をする

 行員が、集金や帳簿つけなど一通り終えると、いよいよみなで話をする時間である。行員は自分の判断で、その日話すテーマを決める。それは女性の生活に即した、「一六カ条の決意」にあるようなことである。本店からの指示は、たまにある。その内容は、国民の祝祭日の意味を伝えるようにとか、グラミン銀行の運営上の大きな変更についてである。

 行員は、繰り返しわかりやすく、メンバーの名前を呼びながら、語りかける。伝達手段は「話すこと」だけである。だから、行員は話上手でなければならない。そして、情報もみなに公平に伝えなければならない。貧しい人びとには、情報が伝わらず、損をさせられたことが多かったからである。

 メンバーは…

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