貧しい人々が信用に値しないのではなく、既存の銀行が人びとに値しないのである
バングラデシュの貧しい女性たちに無担保で融資し、自立を促す「グラミン銀行」。その活動を8年にわたって調べてきた著者が、女性たちの奮闘する様子を活き活きと描く。

2 グラミン銀行の仕組みと女性のかかわり方

□貧しい女性の暮らしぶり

 バングラデシュの人びとは、八〇が農村部に住んでいる。その多くが自給自足をする農民ではなく、土地のない貧しい賃金労働者である。彼らが頼れる資源は、自分たちの労働力だけである。そのため、そのときどきの経済情勢に翻弄され、深刻な状況に陥りやすい。

 豊かな国の人びとが、生存を脅かされるほどの状況に陥りにくいのは、人びとが平均的に豊かだからではない。彼らには、生活保護、失業手当、年金など、さまざまな社会保障制度があるからである。バングラデシュの貧しい人びとには、生活の基盤を支えるこうした社会保障が、ほとんど何もない。

 貧しい人びとのなかでも、女性はさらに不利な立場にある。古くからのことわざに、「娘を…

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