貧しい人びとの生活をよくしようと、彼らをきちんとした借り手として扱い、貸す銀行があるといえば、私たちのほとんどは、急には信じられないというでしょう。なぜなら、銀行は貧しい人を相手にしないと思っているからです。それにもまして、貧しい人には、お金を〝あげること〟は考えても、〝貸すこと〟は考えたことがないからです。
世間のこうした常識は、貧しい人びとをさらに苦しめてきました。そのためもあって、彼らは、最低限の生活を維持するため、こうなりたいということや、こうしたいということを、犠牲にしなければなりませんでした。つまり、生きることに精一杯で、彼らが望む「なれること」や「できること」を、放棄せざるをえ…
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