その社長は、首を吊ろうと思ったこの「工場」で、新年を迎えられる喜びに感激して泣いていた
銀行にその名を恐れられる一方、人情派で知られる再建弁護士・村松謙一。NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」でも反響を呼んだ、生々しい実話で綴る「会社救済ドラマ12話」。

会社救済ファイル9 期待をすればこそ……

──中小企業再生支援協議会の存在意義と限界

過剰債務の弊害

 ひどい話があったものだ。関東地方のある「中小企業再生支援協議会」(支援協議会)に再生支援を申し入れたときのことである。

 その会社は、関東地方で、優れた技術力と信用力を有して、堅実に企業経営をしていたが、売上拡大を見込んで新設した工場が予定に反して売上を伸ばせず、かえってその建設費用が過剰債務となり、少しずつ経営を圧迫していった。

 この過剰債務を抱えたまま、借入金の元利金を支払い続けると、老朽化した機械等の設備投資もなおざりとなり、加えて、新規採用を控えることで、会社の人材の老朽化も進み、会社に閉塞感が漂い始めていた。従業員に対する賞与も出せる資金状況でないから、従業員のモチベーションも下がり…

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