その社長は、首を吊ろうと思ったこの「工場」で、新年を迎えられる喜びに感激して泣いていた
銀行にその名を恐れられる一方、人情派で知られる再建弁護士・村松謙一。NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」でも反響を呼んだ、生々しい実話で綴る「会社救済ドラマ12話」。

会社救済ファイル5 四面楚歌、頼みの綱さえ切れかけて……

──一度はすべての銀行から見放された製氷会社の蘇生

 真夏の青空に白球が飛んで行く。今年も甲子園球場で、全国高校野球大会が行われている。

 40年以上も前になるが、野球少年であった中学2年生の私は、夏休みに母にせがんで甲子園に連れて行ってもらった。私の地元の代表、静岡商業が決勝戦に進出したからだ。

 相手は大阪の興國高校。静岡商業のエースは、1年生の左腕、新浦(後に読売ジャイアンツのエースとなる)。試合は最後まで息詰まる投手戦であった。残念ながら、10で静岡商業が負けてしまったが……。

 外野席から見る甲子園はあまりにも大きく、あの暑さの中で食べた「かちわり」の味は、何の変哲もない氷水であったが、いまでもあの暑さとともに忘れてはいない。この興奮こそ…

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