真夏の青空に白球が飛んで行く。今年も甲子園球場で、全国高校野球大会が行われている。
40年以上も前になるが、野球少年であった中学2年生の私は、夏休みに母にせがんで甲子園に連れて行ってもらった。私の地元の代表、静岡商業が決勝戦に進出したからだ。
相手は大阪の興國高校。静岡商業のエースは、1年生の左腕、新浦(後に読売ジャイアンツのエースとなる)。試合は最後まで息詰まる投手戦であった。残念ながら、1対0で静岡商業が負けてしまったが……。
外野席から見る甲子園はあまりにも大きく、あの暑さの中で食べた「かちわり」の味は、何の変哲もない氷水であったが、いまでもあの暑さとともに忘れてはいない。この興奮こそ…
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