その社長は、首を吊ろうと思ったこの「工場」で、新年を迎えられる喜びに感激して泣いていた
銀行にその名を恐れられる一方、人情派で知られる再建弁護士・村松謙一。NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」でも反響を呼んだ、生々しい実話で綴る「会社救済ドラマ12話」。

消費者金融との攻防

「先生。920日に手形が回ってくるんですが……」

 四十九日の法要がまだ先のある日、心配そうな声で息子さんが電話をかけてきた。

「いくら回ってくるんですか」

400万円です」

K社長からは、手形を発行していたとは聞いていませんでしたが……」

「父が、銀行への約定返済を守ろうとするあまり、そのシワ寄せが仕入先支払いにきて、その支払分を補うため、数年前から数社の消費者金融から借りては返してを繰り返していたようです」

 銀行借入金の優先返済を心がけるあまり、不足する資金を新たに高利の消費者金融に手を出し借りてしまう。たしかに信用不安を引き起こし、会社の価値を劣化させる商取引先への未払いは発生してはいないが…

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