その社長は、首を吊ろうと思ったこの「工場」で、新年を迎えられる喜びに感激して泣いていた
銀行にその名を恐れられる一方、人情派で知られる再建弁護士・村松謙一。NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」でも反響を呼んだ、生々しい実話で綴る「会社救済ドラマ12話」。

不安にかられ預金差押え準備

 ところが……、である。

 保証金の入金期日があと10日と迫ったある日、スポンサー候補者の社長から、「資金の拠出先の海外にいるオーナー家と連絡を取ったところ、オーナー家が他のゴルフ場を物色して、保証金をわれわれ管財人側に渡すのを躊躇しているので、先生に渡す保証金の入金時期をもう少し待ってくれないか。説得してみるから」との申入れがあった。

 とんでもない話であるが、オーナー家と運用会社との話に微妙なズレがあるのだろう。1か月ほど延期することの許可を裁判所やRCCに伺ったところ、まあ、それくらいの延期なら買収金額が破格なだけに猶予してやろうじゃないか、ということになった。

 それでも、延期したその日にな…

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