その社長は、首を吊ろうと思ったこの「工場」で、新年を迎えられる喜びに感激して泣いていた
銀行にその名を恐れられる一方、人情派で知られる再建弁護士・村松謙一。NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」でも反響を呼んだ、生々しい実話で綴る「会社救済ドラマ12話」。

経営者に課せられる経営責任

 もちろん、このような過剰債務状態を招いた企業経営者側も、たしかに「経営責任」をきちんと取らねばならない。

 金融機関側にも債務圧縮の犠牲を強いる以上、借主側たる経営者側もなんらかの犠牲を払うのは当然であろうし、衡平の原則・モラルハザードからも導かれよう。景気が減速し、世の中の不況に巻き込まれたとの被害者意識はあろうが、その経営の見通しの甘さ、借入金過多を招き、慎重さを欠いた経営行動は、「結果責任」ではあるが、やはり避けては通れないであろう。

 自宅等、自分の財産を処分、換金して、借入金の返済や不足運転資金に充てることは、当然、しなければならない。まず債権カットありきと策略する経営者の敵前逃亡は、…

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