その社長は、首を吊ろうと思ったこの「工場」で、新年を迎えられる喜びに感激して泣いていた
銀行にその名を恐れられる一方、人情派で知られる再建弁護士・村松謙一。NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」でも反響を呼んだ、生々しい実話で綴る「会社救済ドラマ12話」。

会社救済ファイル4 捨てる神あれば拾う神あり

──RCCの更生申立てで始まった名門ゴルフ場復活

深夜のドライブ

 もしかしたら、私の乗っているこの車は、どこかに突っ込んで、私は死ぬのではないか。

 ある名門ゴルフ場の会社更生申立事件。保全管理人に着任した直後、社長からの事情聴取を終えてのゴルフ場からの帰りのこと。午前0時を過ぎた深夜の高速道路を、東京に向かって猛スピードで運転中の社長の車の助手席に座っていた私は、本気でそう感じた。

 スピードメーターの針はゆうに120キロを超えていた。真暗闇の高速道路。前方に車は見当らない。

 運転している社長は、興奮のためか、ぐんぐんとスピードを上げていく。まるで事故になってももう構わない、とでも考えているかのように、猛スピードを出し続けていた。

 ただ、私も、死を否定してい…

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