伝統──それはむしろ対決すべき己の敵であり、また己自身でもある
縄文土器・尾形光琳・庭園を題材に、日本の美を探り出す。『今日の芸術』の新展開。

3 借景の庭

ほろびゆく技術

 庭園にしやつけいしきというのがあります。

 庭の外の眺めを取りいれ、それを一つの構成要素とした庭園です。かぎられた区域の中でも雄大な風景を楽しむことができるし、また外の自然美と内の人工美との巧妙な使いわけの調和が見られます。

 考えてみればこれは造園術の一つの根本的なポイントであり、じじつ、中世から近世にかけては、いわゆる、「借景なければ名園といえない」と考えられたほど、造園上の大きな課題だったのです。

 残念なことに、今日すぐれた借景式庭園が幸運な状態で、のこされているのを見ることはできません。庭自体が荒廃して、跡かたもなくなっている。そうでなくても庭のまわりに人…

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