伝統──それはむしろ対決すべき己の敵であり、また己自身でもある
縄文土器・尾形光琳・庭園を題材に、日本の美を探り出す。『今日の芸術』の新展開。

5 過去の遺産か今日の創造か

否定的に見かえす

 以上、私はあくまでも今日の日本人として、この目、この肉体で中世の庭園にふれ、感じたままを語り、観察した点を展開してきました。

 私としてはいろいろと発見があり、その驚異的な技術、問題性を取りあげたのです。ところでやや困惑する。

 いったい、そのように指摘してきた過去の芸術のすぐれた点、その実体がはたしてほんとうに過去のものであるのか。あるいは今日、庭園を見、それについて問題を提起しながら、じつは私が発見し、現在的に新しい伝統として創りあげつつあるものか。

 もちろん過去の作品の中に、こちらを魅了アツピールし、高める要素がなければ、どんな情熱もおこりようが…

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