伝統──それはむしろ対決すべき己の敵であり、また己自身でもある
縄文土器・尾形光琳・庭園を題材に、日本の美を探り出す。『今日の芸術』の新展開。

はじめに

 近ごろ世の中が奇妙にチンマリと落ちついてきました。新しいものにぶつかって前進してゆくというよりも、一種の無気力さから、すべてが後もどりしているのではないか、という感じです。そんな風潮に乗って、古い文化への関心が高まっているようです。

 だが、それはかならずしも、よろこぶべきことじゃない。逆コースという、なにも生みださない不毛なラインを下降しているからです。ふたたび、あの暗い、しめっぽい日本にもどってしまうのではかなわない。

 こういう時期にこそ、正しい伝統への心がまえ、考えかたをはっきりさせておかなければならない。

 まさに緊急な課題です。とうぜん、新しい芸術の問題もこれにつながっています…

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