近ごろ世の中が奇妙にチンマリと落ちついてきました。新しいものにぶつかって前進してゆくというよりも、一種の無気力さから、すべてが後もどりしているのではないか、という感じです。そんな風潮に乗って、古い文化への関心が高まっているようです。
だが、それはかならずしも、よろこぶべきことじゃない。逆コースという、なにも生みださない不毛なラインを下降しているからです。ふたたび、あの暗い、しめっぽい日本にもどってしまうのではかなわない。
こういう時期にこそ、正しい伝統への心がまえ、考えかたをはっきりさせておかなければならない。
まさに緊急な課題です。とうぜん、新しい芸術の問題もこれにつながっています…
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