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vol.35【特集】国際女性デー(International Women’s Day)

 SlowNewsでは、平日月曜日から金曜日までに5日間、「丁寧に掘り下げていく」という読書体験のお手伝いとして、テーマを変えて【特集】を組み、SlowNewsで読める書籍や記事をご紹介していきます。

 2022.2.28〜3.4は、「国際女性デー」をテーマにSlowNewsで読める書籍・本をピックアップしました。ロシアによるウクライナ軍事侵攻が深刻化する中、1916年の38日は、ロシアの首都で、第一次世界大戦の終結を求める女性労働者らがデモを行い、それが大規模なストライキへと発展した日でもあると知りました。

 Twitter・Facebookに投稿したものを、こちらにまとめます。

月曜日/夫婦別姓について考える

 国連によって197538日に定められた「国際女性デー」。せっかくなので、女性をエンパワメントするような書籍・記事を探しましたが、現実は厳しいと感じざるを得ませんでした。女性が、誰もが生きやすくなる社会に変わりますように……と願いをこめてご紹介します。

 月曜日は、夫婦別姓について言及のある「密着 最高裁のしごと 野暮で真摯な事件簿」(岩波新書/川名壮志)をご紹介しました。これは201512月の最初の最高裁判決です。女性裁判官3人のうち、3人ともが「違憲」と判断。

夫婦同姓を法律で義務付けている国は世界で日本のみ

 「家族単位ではなく、社会に生きる一個人としての姓」の重要性を主張した女性裁判官は、女性当事者。しかし結果的には「夫婦別姓は合憲」の判断が下されます。法務省によると、夫婦同姓を法律で義務付けている国は世界で日本のみ。いつか夫婦別姓議論が終結し、国際女性デーで祝う日が来るでしょうか。

 「夫婦別姓」について言及している本・記事は、他にもあります。

 「なぜ日本は若者に冷酷なのか

 「日本婚活思想史序説

 ちなみに、191638日は、ロシアの首都ペトログラード(当時)で第一次世界大戦の終結を求める女性労働者を中心としたデモが大規模なストライキへと発展した日。今年の38日、命の危機に怯える女性も、平和を願う世界中の女性も、つながり、思い合う日にもなるではないでしょうか。

火曜日/戦争は女の顔をしていない

 ロシアによるウクライナ侵攻も気になる毎日です。今日は、『戦争は女の顔をしていない』(スヴェトラーナ・アレクシェーヴィチ/岩波書店)をご紹介します。

ウクライナ侵攻「平和のためのコンサート」に参加するアレクシェーヴィチ。

 ベラルーシ人の父とウクライナの母から生まれた作家、アレクシェーヴィチ。大きなものに蹂躙される「小さき人々」の声を書き記したこの『戦争は女の顔をしていない』は、いまこそ読んでおきたい本。

 〈話せる人たちもいるけど、私はできないよ……泣けてきちゃうよ。でもこれは残るようにしなけりゃいけないよ、いけない。伝えなければ。世界のどこかにあたしたちの悲鳴が残されなければ。あたしたちの泣き叫ぶ声が〉

 実は、この本の中にも、38日、「国際婦人デー」が出てきます。戦時に、ささやかなパーティをしようとする当時の女性たち。

 そして、この著者のアレクシエーヴィチ氏を含む著名作家が、35日、「この罪深い戦争を止めなければならない」と、複数の欧州メディアで声明を発表しています。

水曜日/貧困女性の開発と自立支援ーバングラディシュ

 昨日(202231日)、世界銀行は、190カ国・地域の経済的な権利を巡る最新の男女格差調査を公表し、日本は昨年の80位から103位に急降下したそうです。世銀担当者は、「日本は女性の法的平等を改善するための改革を検討する必要がある」と強調したと報じられています(共同通信)。

 ……という報道もあったので、「国際女性デー」と世界銀行の「銀行」を繋げて、『グラミン銀行を知っていますか 貧困女性の開発と自立支援』(坪井ひろみ/東洋経済新報社)を今日はご紹介します。この本、面白いです。

グラミン銀行からの資金でビジネスを始めた女性(地元のお菓子作り)

 この本では、バングラデシュの貧困問題を知ることができますが、一方で、バングラデシュの女性の生活紹介としても読めます。グラミン銀行の貧しい女性たちに無担保で融資し、自立を促す「マイクロクレジット」で、生活の質を高めようと、懸命に生き、挑戦する女性たちの姿です。

木曜日/かつての日本が強いた「あるべき銃後の女性像」

 どうしてもウクライナ情勢が気になる日々です。戦争と女性について本を探していると、こんな一文が。「女性は女性らしい「情」で兵士を支えるべきだという観念の規範化・固定化」――ギョッとしました。

たすきには「愛国婦人会」の文字。国によって女性の在り方がコントロールされる。

 『明治・大正・昭和 軍隊マニュアル〜人はなぜ戦場へ行ったのか〜』(一ノ瀬 俊也/光文社新書)で紹介されている、『最新 戦時女子慰問文』の一文です。この本では、明治期から太平洋戦争期にかけて、数多く出版された軍隊にまつわる「マニュアル」集を検証しています。

 ぜひ、日本の過去の戦争も、振り返る時間に。当時の「あるべき銃後の女性像」──国や周囲に迷惑をかけず自発的に働き、子を立派に育てるという女性像は、現代にも残るものでは、と考えさせられます。

金曜日/制度からジェンダー平等を考える

 〈「育てる=女」「養う=男」というイデオロギーが透けて見える政策は、功を奏しません〉そう書いているのは、「民主主義のための社会保障」(香取照幸/東洋経済新報社)。

イタリアでは女性にミモザを贈る「ミモザの日」。

 〈「合理的無知」の話を思い出してください。人は自分に直接関わらないと思ったことには、脳のリソースを使わない。周りの人の言っていること、みんながそう言っていることをそのまま無批判に受け入れ、自分で考えることを放棄してしまいます〉

 ――「合理的無知」。印象に残る言葉です。あらゆる問題に言えることだと思いながら読みました。

 38日、国際女性デー。ぜひ、その〈国際女性デー〉が「なぜあるのか」ということにも思いを巡らせて、過ごしてみてください。

 そして今日は、日本でも各地でジェンダーに基づく差別や暴力に反対するアクション「ウィメンズマーチ」を開催しています。オンラインイベントもあるようです。気になる方は是非検索して、参加してみてください。

SlowNews /吉田千亜

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