退職前に始末を付けておきたい事件がある
ニュージャージー州バーゲン郡のロバート・アンジロッティは退職を目前に、47年追い続けていた未解決事件に頭を巡らせていた。目星はついていた。犯罪史上に名を残す「タイムズスクエア連続殺人事件」の犯人、リチャード・コッティンガム。なぜ殺人鬼は長年の沈黙を破り、老刑事に語り始めたのか? NYTがベテラン刑事の最後の仕事が終わるまでを追った。

「未解決事件について口をすべらせるように誘導したかった」

 巡査長だったアンジロッティは、アメリカンフットボールの全米一を決めるスーパーボウルの試合が行われた翌日、コッティンガムの居室を不意打ち捜査することにした。すると、刑務所の職員によって、禁制品や賭けの証拠が発見され、コッティンガムは独居房に移された。数日後、アンジロッティは独居房にコッティンガムを訪ね、こう言った。「お前をここに移したのは私だ」

 だが、コッティンガムにそんな脅しは通用しなかった。アンジロッティの回想によれば、コッティンガムは彼に向って「俺がお前の言うことを聞いたり、お前を助けたりするなんて思うなよ」と警告した。

 アンジロッ…

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