本書では、日本が文化財というものをどのように考えてきたのかについて、環境面、そしてお金の問題から考察してきました。ここでもう少しテーマを広げて、文化財を今のままで維持・保存だけするにしても、観光資源として利活用するにしても、欠かすことができない「技術」の維持、すなわち「職人」について考えてみたいと思います。
職人の業界は、非常に複雑な状況にあります。日本の従来の文化が家庭から消えつつあることによって、職人の出番、その技術の需要が基礎から崩壊しています。文化財への依存が高くなっているにもかかわらず、文化財行政はまだそれに十分に対応しているとは言えません。この外部要因に加えて、仕事が減っているの…
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