定期的なメンテナンスをすることで、サプライチェーンを成立させるという話をしてきました。しかし、これにはひとつ、大きな問題が潜んでいます。
みなさんは、文化財修繕の仕事は、資格をもった熟練の職人だけがやっていると思われているのではないでしょうか。しかし、実はそうでないことも多いのです。その経験がなく、どう考えてもできそうにない人が文化財修繕の仕事をすることも珍しくありません。
先ほどご説明したように、民間の仕事が減ることで、文化財修理の世界に参入しようとする会社が増加傾向にあります。しかし、中には経営が困難な会社も増えていますので、倫理的なリスクが高まっています。さらに一言に伝統工法と言っても…
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