「ニュートリノは万馬券である」 宇宙の「お宝」を追い求める旅
日本の物理学分野の最高峰・仁科記念賞を受賞した著者による「超高エネルギー宇宙ニュートリノ」の発見をめぐる物語。

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苦難の始まり ── IceCube 実験前夜

31 希少すぎる信号

万馬券問題

 問題は、その量であった。超高エネルギー宇宙の成り立ちを研究するには、このエネルギー帯で宇宙から降ってくるメッセンジャーであるニュートリノを測りたい。だが予測された数字をよくよく見ると、これは夢物語と言ってもよいものだった。少なくとも1990年代当時は、実現可能な話には思えなかった。

 そもそもニュートリノはごく稀にしか衝突しない幽霊粒子である。この性質こそが、宇宙エンジン天体を暴き出す切り札足り得たのだ。だが、ニュートリノを捕まえる立場に立てば、これは長所どころか、悪夢に近い性質と言える。だからこそ、最初の予言か…

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