「演歌」をめぐる謎を解き明かす それは「日本の心」か?「艶歌」とは何か?
「目からウロコ」「衝撃的」「出色」と各界から絶賛の嵐! 2011年度サントリー学芸賞受賞(芸術・文学部門)。

終章 「昭和歌謡の死」(と再生)

*阿久悠の死

 二〇〇七年の阿久悠の死は、様々なメディアで「昭和の歌謡曲の死」として語られました。「昭和の歌謡曲、逝く」(中洲通信二〇〇七年一〇月号)や、「阿久悠死去で『昭和』が終わる 歌謡曲があった時代」(AERA二〇〇七年八月二〇日号)、渚ようこによる「弔詞」の見出し「誰もが愛した昭和歌謡の生みの親」(『dankaiパンチ』二〇〇七年一〇月号)など、「昭和」と「歌謡曲」と「阿久悠」を特権的に結びつける語法が頻出しています。まるで阿久悠こそが「昭和の歌謡曲」を代表し、その死をもって「昭和の歌謡曲」も死に絶えたかのような書きぶりです。

 一九七〇年代のレコード歌謡における阿久悠の圧倒的な存在感は否定すべくもあ…

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