「演歌」をめぐる謎を解き明かす それは「日本の心」か?「艶歌」とは何か?
「目からウロコ」「衝撃的」「出色」と各界から絶賛の嵐! 2011年度サントリー学芸賞受賞(芸術・文学部門)。

第五章 「作者不詳と競作」のヒット──一九六〇年代前半の「艶歌」

 昭和三〇年代後半(一九六〇年代)以降、ここまで検討した「流し」イメージを前面に出す歌手の登場とも密接に関わりながら、「流し歌」としての「艶歌」が一種の流行となります。夜の巷で歌われていた作者不詳の歌謡が、一種の新曲としてレコード会社の垣根を越えた競作の形でレコード化され、大きなヒットとなってゆくのです。

 そのなかで「艶歌」ないし「演歌」の語が、これまでの「演(艶)歌調」や「演(艶)歌師」という用法を超えて、一種のジャンルとして浮上してきたと考えられます。

 本章で扱う六〇年代の「演(艶)歌」の特徴として、「作者不詳」と「競作」という二つのファクターを重視しますが、それはこの二つが専属制度からの…

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