追い込み漁、これを目の当たりするには、鄙びた入り江でいつ帰ってくるかわからない追い込み漁船を待つしかない。それで見えるものは漁全体のごく一部にすぎない。謎多き、いさな組合。二十数名の小さな集団ではあるが、その背負う文化・歴史はとてつもなく大きい。そのことを、私は伝えなければならなかった。追い込み漁が叩かれるなら、私は義として立たなくてはならない。私にしか書くことができないことがここにはたくさんある。それを書くことがこの15年分の礼だ。イルカ追い込み漁を知ってもらいたい思いで書き始めた。柱は、漁法、漁師、そして歴史文化である。
漁は、その作業のほとんどが沖でなされる。畠尻湾へと追い込まれ、そこ…
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