「えっ! イルカを食べるの?」
「えっ! イルカを食べるの?」という前に漁の現場を見よう。『THE COVE』の舞台・太地でイルカ漁船に便乗し、15年間「おいちゃん」たちと交流した動物行動学者の体験的捕鯨論。

5章 捕鯨業界のこれから

国際関係で翻弄された200

 国際情勢が生活に直結する、そんなことを私は感じたことがなかった。しかし太地はそういう場所だ。しかも、この200年近くを通じて。

 始まりは、1819年のジャパングラウンドの発見報告だ。日本の沿岸にはマッコウクジラがゴロゴロいるぞ、と商船経由で捕鯨船に伝わった。これはアメリカ人どうしのやり取りで、日本人にはまったくあずかり知らぬところだった。その後194050年代を中心に多くの捕鯨船が日本近海で操業していった。

 1853年のペリー来航は、一般には通商要求とされているが、何のことはない、アメリカの捕鯨船への食糧、水、薪の供給(もちろん売るのだが)が主な目的だったのだ。この事実は捕鯨関係者では、周…

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