(不思議な感覚 へ戻る)(探鯨 へ戻る)(追い込み作業 へ戻る)(解剖作業 へ戻る)(感謝して、頂く へ戻る)(いざ出航! へ戻る)(いざ出航! へ戻る)(いざ出航! へ戻る)(イルカとクジラ へ戻る)(イルカ追い込み漁が完成するまで(2)捕…
図表作成/デマンド写真/特記以外は著者の撮影・所蔵…
朝5時。手早く身支度を整え、家を出る。暖かい南紀とはいえ晩秋の早朝、しかも湿気の多い海風は体に滲みるので完全防寒だ。スキー場装備といえばわかりやすいだろうか。スキーウエアは、防寒性と防水性が高いので、寒い海で飛沫をかぶったとしても、いくぶん快…
さて、鯨探しの場面に戻って、実況中継を続けることにしよう。「探鯨」という言葉は「探鳥」「探虫」などとおなじ〝探〟の用法だが、なんとなく、「あてどもなく探す」という語感がある。どうやって探鯨するのかというと、魚群探知機などの機器は使わない。これ…
さて、折よく、イルカの群れを発見できれば、そこからが追い込み漁の本番だ。追い込み方法そのものはごくシンプルで、獲物の群れを後方側方から追い立てて目的の方向へ誘導するのだ。ヒツジと牧羊犬の関係を、イルカと追い込み漁船団に置き換えれば想像しやすい…
イルカ研究にはいろいろな手法がある。骨格標本を集める人、鳴音を記録する人、糞を採集してそこからDNAを抽出する人。私は海を泳いでいるイルカの行動に興味があった。そこで、沿岸小型捕鯨の調査員をしながら、船上調査ができる〝場〟を探した。結果的に、…
(100年の記憶へ戻る)畠尻湾。湾といっても実際のところ入り江というイメージが合う大きさだ。一番広いところで幅150メートル、奥行き200メートルほど。湾口部から湾奥の岸を見ると中央部が少し出っ張った形になり、あえていえば太っちょのY字型とい…
小型船で運ばれてきたイルカは、太地漁協内魚市場に設けられた解剖場(図13)へ引き上げられていく。解剖係は、大包丁と呼ばれる刃渡り30センチほどの専用の包丁を研ぎ澄まして待っている。解剖⑶は、この大包丁(図14)と補助的に使う手鉤で、ほぼすべて…
実際のシステムはこうだ。いさな組合の組合員と漁協関係者(合計三十数名)には、太地で好んで食されるマゴンドウ、スジイルカの水揚げがあった時には、一定量の肉の配分がある。水揚げ量にもよるが、いさな組合員にはだいたい2~3キロ、漁協関係者には、その…
(人間関係づくり へ戻る)コマッコウという鯨類がいる。正確には、コマッコウ(pygmy sperm whale)とオガワコマッコウ(dwarf sperm whale)という2種類があり、それぞれ体長3・3メートル、2・7メートルほどと小さい…
「あいつらはホンマ、やくざやで。ちょっと、ぶつかると大げさに転んで、『いてててヤラレタよ~』と叫んでそれを撮影させる」「とにかくいうことを聞かない。〈立ち入り禁止〉と英語でも書いてあるのに、平気で入ってくる」外国人を中心としたいくつかの環境保…
イルカ追い込み漁と古式捕鯨の連続性について、さらに検討を続けたい。「断切網捕鯨法」というものがある。『くじら取りの系譜』(中園成生、長崎新聞新書、2001年、2006年改訂版)によれば「断切網という漁法は、近世以降、海豚を取るために各地で用い…
追い込み作業の面からも捕鯨の歴史を探ってみる。ゴンドウなどが「寄せ物」として捕れることが昔からあった。寄せ物とは、『太地町史』によると「太地の地形と海流の関係から小魚などのエサを追って、あるいはシャチなどの捕食者に追われて、湾内深くへ大群で入…
船が近づくと、危険を感じて逃避行動を始めるのは生きものとして当然のことだが、その対応は鯨種によって異なり興味深い。逃避行動の違いは漁の手法に直接影響するので、漁師たちは経験則で鯨種ごとの特性を知り尽くしている。潜って逃げる時の潜水姿勢、尾びれ…
前章の最後で博物館や水族館について触れたが、私たちがイルカのショーを楽しめるのは、ほとんどの場合、追い込み漁のおかげである。ここ数年、水族館等のイルカ飼育施設に動物を提供することが、追い込み漁の中で大きな位置を占めるようになってきた。たとえば…
生け捕りされたイルカは、とにかく、エサを食べてもらわなくては体力が消耗してしまう。初めにすることは、エサを食べさせることだ。水族館等と同じように冷凍のサバを解凍し、使うことが多い。漁港ではたくさんの魚が水揚げされるのに、なぜ冷凍物を使うのだろ…
国際情勢が生活に直結する、そんなことを私は感じたことがなかった。しかし太地はそういう場所だ。しかも、この200年近くを通じて。始まりは、1819年のジャパングラウンドの発見報告だ。日本の沿岸にはマッコウクジラがゴロゴロいるぞ、と商船経由で捕鯨…
(コラム6へ戻る)動物が何かを頼る理由は、(1)捕食向上:エサを上手く採るためか、(2)被食回避:自分がエサにならないためである。ゴンドウ類がハンドウイルカを頼る理由も同様に考えられる。まず、ゴンドウ類はハンドウイルカと混群を構成することで捕…
今の時代にイルカやクジラを捕って食べることはおかしいのだろうか。人は、いや、生きものは、何かを食べて生きていかねばならない。その何かは往々にして、他の生きものである。だとすれば、鯨を食べることに批判が上がることは、生きものだからではない。野生…
鯨肉のあり方を考える時、長くIWC日本代表団代表代理を務めてこられた、先出の小松正之氏が気になる発言をしている。『朝日新聞』(2010年4月17日付)の「オピニオン欄」で、調査捕鯨の捕獲実績が低いこと(最大935頭の計画に対して506頭の実績…
本書も終わりに近づいてきた。私の祖父は獣医として食肉処理場に勤務していたので、〝屠畜〟という仕事の様子を小さい頃から聞いてはいた。しかし、大学の研究室で牛の血液が一定量必要になり食肉処理場へ初めて行った時の光景は今でもありありと思い浮かぶ。順…
(コラム5へ戻る)イルカに対して被食恐怖を与える動物は何か? それは海洋における最強の捕食者・シャチである。シャチの来遊はほかの鯨類を恐怖に陥れる。この恐怖がないことが、飼育施設はイルカにとって安心な場であるひとつの理由と考えることができる。…
追い込み漁、これを目の当たりするには、鄙びた入り江でいつ帰ってくるかわからない追い込み漁船を待つしかない。それで見えるものは漁全体のごく一部にすぎない。謎多き、いさな組合。二十数名の小さな集団ではあるが、その背負う文化・歴史はとてつもなく大き…
(休漁日は休日にあらず へ戻る)この町を訪れる人は、なにかしら「鯨」を期待してやってくることだろう。鯨尽くしの料理もいい。くじらの博物館でショーを見て、捕鯨を知ってもらうのももちろんいい。が、〝今も〟捕鯨の町であることを頭の片隅には入れておい…
太地町史,太地町史監修委員会,1979熊野太地浦捕鯨乃話,太地五郎作,紀州人社,1937熊野太地 鯨に挑む町,熊野太地浦捕鯨史編纂委員会,平凡社,1965太地角右衛門と鯨方,太地亮,2001深重の海,津本陽,新潮社,1978黒鯨記,神坂次郎,…
関口雄祐(せきぐちゆうすけ)1973年千葉県生まれ。千葉商科大学専任講師。1996~2000年、沿岸小型捕鯨担当の水産庁調査員(非常勤)として定期的に太地に滞在。それ以来2003年まで、追い込み漁の経験と行動観察を兼ねて漁船に便乗。その後も、…
イルカを食べちゃダメですか? 科学者の追い込み漁体験記2010年7月20日初版1刷発行2013年4月30日電子書籍版発行著 者─関口雄祐発行者─丸山弘順装 幀─アラン・チャン発行所─株式会社光文社東京都文京区音羽1‐16‐6(〒112‐801…

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