原監督の一億円恐喝事件に関する報道で球界に激震が走った二〇一二年のシーズンだが、終わってみれば、巨人軍は二〇〇九年以来三年ぶりの〝日本一〟を手にしていた。
日本シリーズ最終戦では主将の阿部慎之助が、同点で迎えた七回に決勝の適時打を放ち、巨人軍に二十二度目の優勝をもたらした。阿部は長らく右ひざの故障で苦しんでいたが、土壇場で底力を見せつけた。試合後の原監督は「これがジャイアンツ魂だ」と阿部を称賛し、シリーズ二勝を挙げたエース、内海哲也はMVPに選ばれた。
しかし栄光の陰では、原監督一億円恐喝事件の教訓もむなしく、新たなスキャンダルの萌芽が巨人軍内に現れはじめていたのである。
巨額の利益を生み出…
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