二〇一六年二月二日午後十一時過ぎ、薬物捜査を担当する警視庁組織犯罪対策五課は、元プロ野球選手、清原和博を港区内の自宅マンションで覚せい剤の所持容疑で現行犯逮捕した。
捜査員が部屋に踏み込んだ時、清原は注射器とストローを手に持ち、テーブルの上にはビニール袋に入った覚せい剤があった。リビングの丸いローテーブルの上にも、キッチンの流しの上の棚にも、むき出しの状態で注射器があり、ベッドルームの床下には、覚せい剤を〝炙り〟と呼ばれる方法で吸引した痕跡が残る黒ずんだガラスパイプもあった。
その様は薬物中毒者そのもので、あまりにも無防備だった。
警察は、数カ月前から清原の行動確認を徹底していた。ホテルなど…
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