神武以来の天才・加藤一二三が語る「羽生善治」
天才が天才を語る!

第五章 羽生の気配り

●大名人のアドバイス

 この章では、ちょっと羽生さんからはずれて、私と数々の激戦を繰り広げた天才たちの、意外ともいえる人柄を表すエピソードを紹介しようと思う。

 まずは大先輩に敬意を表し、大山康晴さんからはじめることにしたい。盤を前にしているときは、優勢でも劣勢でも変わりなく、常に沈着冷静ですきがないように見える大山さんだが、私の理解では、じつはけっこう人間臭い人だった。大名人にして大巨匠ではあるが、決して雲の上の人というわけではなく、市井の人々の共感を呼びそうな面を多分に持っていた。

 私と大山さんは、年齢はかなり違うが、一〇〇局以上も戦ったライバルといっていい。そのライバルから私は、アドバイスをもらったことがある。

 …

この作品では本文テキストのコピー機能を制限しています

01