バブル紳士からヒルズ族まで。その絶頂と転落
ジャーナリストとして、数々の大事件を取材してきた著者が、リクルートの江副浩正、住友銀行の“天皇”磯田一郎、イトマン事件の首謀者・許永中、イ・アイ・イグループの高橋治則ら、15人の怪物を通して、平成日本の暗部を浮き彫りにする―。

韓国への移送を政治工作

「許永中が韓国に移送されたようですが、ご存知でしたか」

 そう問い合わせがあり、慌てて関係者に確認したのは、二〇一二年十二月十四日の夕刻だ。あとから知ったのだが、許永中はその前日の十三日、すでにソウルに移送されていた。とうぜんマスメディアが騒ぎはじめ、私にも連絡があったのである。

 母国で残された刑期をまっとうすることを許永中本人が希望し、日本からの出国が叶ったという。韓国への移送は、国際受刑者移送法の規定により、日本の法務大臣が、祖国の受刑を認めた措置である。軽犯罪者ではなく、許のような大物受刑者に移送法が適用されるのは稀といえた。だが、実は許による韓国への移送要請はこれが初めてではない。

 イト…

この作品では本文テキストのコピー機能を制限しています

01