バブル紳士からヒルズ族まで。その絶頂と転落
ジャーナリストとして、数々の大事件を取材してきた著者が、リクルートの江副浩正、住友銀行の“天皇”磯田一郎、イトマン事件の首謀者・許永中、イ・アイ・イグループの高橋治則ら、15人の怪物を通して、平成日本の暗部を浮き彫りにする―。

預金通帳が詰まったセカンドバッグ

「どんくらいカネあるか、いっぺん見せたろうか」

 大阪・北新地の高級クラブでは、そばに座っている女の子にそう声をかけ、カバンを開く男の姿が夜ごと目撃されていた。ときはバブル景気真っ盛りの一九八〇年代後半から九〇年代初頭、男の名は末野謙一といった。九六年、公的資金で破綻処理して騒ぎになった住専(住宅金融専門会社)問題の主役の一人である。

 不動産会社「末野興産」社長の末野は、バブル景気が弾け飛んだ九〇年代に入ってなお、大阪のネオン街を練り歩いた。銀行員が着るような濃紺のスーツを何百着も仕立て、飲みに出かけるときは、決まってそれを身に着けていた。ただし、肩幅が広く筋肉質でがっしりした末野がそれを身につ…

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