バブル紳士からヒルズ族まで。その絶頂と転落
ジャーナリストとして、数々の大事件を取材してきた著者が、リクルートの江副浩正、住友銀行の“天皇”磯田一郎、イトマン事件の首謀者・許永中、イ・アイ・イグループの高橋治則ら、15人の怪物を通して、平成日本の暗部を浮き彫りにする―。

創業者・森田喜兵衛

 その風変わりな事件が起きたのは、二〇〇三年一月のことだ。月末の三十一日、京都府警捜査二課と九条署が、唐突に森田喜兵衛という七十八歳の京都府会議員を逮捕した。容疑はみずから創業し、株主となっている会社の臨時株主総会と取締役会を前年に開き、その議事録を偽造した法人登記をめぐる電磁的公正証書原本不実記載だ。ローカル紙にベタ記事扱いで紹介されたくらいで、事件はほとんど知られていない。罪状を見ても、実にありふれていた。

 しかしその実、事件の舞台になった会社の名を聞くと、誰もが知っている。京都府議の森田が創業したというその会社は、佐川急便株式会社。グループの特別背任事件から、実に十一年ぶりの出来事だった…

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